最近、新発売されるコンタクトレンズの多くは、
素材に「シリコーンハイドロゲル」が使われています。
例えば、ワンデーアキュビュートゥルーアイや、アキュビューオアシス、
エアオプティクスEXアクアやバイオフィニティなど。
これらのコンタクトレンズは
すべてシリコーンハイドロゲル素材で作られています。
いったい、どんな素材なんでしょうか?
目次
シリコーンハイドロゲルは「水」よりも多くの「酸素」を通すことができる素材。
シリコーンハイドロゲルという素材は、
「水」よりも多くの「酸素」を通すことができるのが特徴です。
水って化学式で表すと「H2O」になります。
水素(H)2つと酸素(O)1つが結びついたものが水です。
つまりは、水という素材自体が「酸素」を含んでいるんですね。
当然、水は酸素を通しやすい素材ということになります。
シリコーンハイドロゲルは、
そんな、酸素を通しやすい「水」という素材よりも、
「より多く」の酸素を通しやすい素材なんです。
なぜ、シリコーンハイドロゲルという素材が開発される「必要」があったのか?
ちなみに、なんでシリコーンハイドロゲルという素材が
開発される必要があったんでしょうか?
それには理由があります。
一昔前までは、水を多く含んだコンタクトレンズほど、
多くの酸素を通すことができました。
水という素材が1番多くの酸素を通すことができたんですね。
極論をいうと、含水率100%がベストなわけです。
でも含水率100%だとただの水になってしまいます(笑)
視力を矯正するというコンタクトレンズの機能が果たせなくなってしまいます。
なのでコンタクトレンズの形状を満たせる範囲内で
なるべく含水率を上げるという努力が続けられてきました。
含水率が高いものだと70%ぐらいなのではないでしょうか。
でも、含水率が高くなることのデメリットもあったわけです。
水を多く含んだコンタクトレンズは、目が「乾燥」しやすいという欠点が。
コンタクトレンズの含水率が高くなると、
より多くの酸素を通すことができるようになって良いわけですが、
デメリットがありました。
それは、含水率を高めると「目が乾燥しやすくなる」ということでした。
コンタクトレンズに多くの水分が含まれているということは
それだけ蒸発していく水分も多くなってしまうんです。
ガーゼにたっぷりと水分を含ませておいても、
放置しておくと知らぬ間に乾燥している感じに似てるかもしれません。
これってすごく致命的です。
目の健康のために酸素透過率を高めているんですが、
そもそも目がドライアイになってしまっては元も子もありません。
そこで、含水率が低くても、より多くの酸素を通すことができる
素材の開発が進められていったんです。
そして誕生したのが「シリコーンハイドロゲル」です。
シリコーンハイドロゲルにより、乾きにくく酸素も多く通すコンタクトが「誕生」。
そうして誕生した「シリコーンハイドロゲル」なのですが、
これってものすごく画期的な発明だったんです。
というのも今までの価値観をひっくり返してしまったからです。
シリコーンハイドロゲル以前は、
酸素透過率を高めるには含水率を上げるしかなかったんです。
それが、シリコーンハイドロゲル以降になると、
酸素透過率を高めるにはいかにして含水率を低くするのか?
という方向にシフトしてしまったんです。
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズの含水率を
チェックしてみるとわかるのですが、すべて低い含水率になっています。
その方が酸素透過率が上がるからなんですね。
シリコーンハイドロゲル素材のおかげで、
レンズの乾燥の原因となる含水率を低くおさえられる上に、
酸素も今まで以上に多く通すことができるようになりました。
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは、
裸眼の時を100%とすると、
97%〜99%ぐらいの酸素を通すことができます。
ほぼ裸眼並ですよね。
今後はすべてのコンタクトレンズがシリコーンハイドロゲル素材に
シフトしていくのではないかと思います。
参考記事:ワンデータイプのシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズ