コンタクトレンズの素材っていくつかありますが、
その中に「シリコーンハイドロゲル」と「PCハイドロゲル」というものがあります。
なんか似てますよね?
一体なにが違うんでしょうか?
目次
シリコーンハイドロゲルは「酸素」をよく通す素材。
最近、新発売される使い捨てコンタクトレンズには、
素材としてシリコーンハイドロゲルが使われることが多くなってきました。
シリコーンハイドロゲルという素材の特徴を一言でいうならば、
「レンズそのものが酸素をよく通す」ということです。
目にコンタクトレンズを装着するということは、
例えて言うならば、
口にマスクを装着しながら呼吸をすることと似ているところがあります。
(目の角膜って空気中から直接酸素を取り込みます)
普段よりもちょっと呼吸がしにくくなりますよね。
シリコーンハイドロゲルという素材を使うということは、
このマスクをものすごく薄く、通気性を良くして、
呼吸をしやすくすることと似ているのではないかと思います。
PCハイドロゲルは「水分」が蒸発しにくい素材。
それに対してPCハイドロゲルはどうでしょうか?
PCハイドロゲルというのは、
クーパービジョンのプロクリアワンデーという
コンタクトレンズに使われている素材です。
関連記事:プロクリアワンデーを実際に使ってみました【口コミ体験レポート】
他のコンタクトレンズには使われていないのではないでしょうか?
クーパービジョンオリジナルの素材だと言えます。
そんなPCハイドロゲル。
どんな特徴をもっているのかというと、
これまた一言で言うならば、
「レンズの水分が蒸発しにくい」です。
使い捨てのコンタクトレンズって、
レンズそのものに水分が含まれているのですが、
当然のことながら、目に装着している間も、
その水分がちょっとずつ蒸発していきます。
PCハイドロゲルは、
その水分の蒸発量をとても少なくすることができるんですね。
「シリコーン」と「PC」は一体なにが違うのか?
シリコーンハイドロゲルとPCハイドロゲル。
違うところは「シリコーン」と「PC」の部分ですよね。
「ハイドロゲル」というのは共通です。
ちなみに、ハイドロゲルというのは
一般的な昔ながらのコンタクトレンズの素材のことを言います。
HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)とも言いますね。
シリコーンハイドロゲルというのは、
ハイドロゲルにシリコーンを混ぜたもの。
PCハイドロゲルというのは、
ハイドロゲルにPCを混ぜたものなんですね。
そもそも「シリコーン」というのはどういうものなんでしょうか?
どんなイメージをもちますか?
豊胸のために使われるゴムゴムした感じのもの?
そうです。
それもシリコーンの一種です。
シリコーンというのはケイ素を含んだ様々な化合物の総称なんですね。
ちなみに液体状のシリコーンもあります。
リンスとかにシリコーンが配合されていたりしますよね。
共通しているのはケイ素が含まれているということです。
もちろん、シリコーンハイドロゲルにもケイ素が含まれています。
ちなみに、ケイ素というとどんなイメージでしょうか?
いまいちピンとこない人も少なくないと思います。
ケイ素というのは、分かりやすくいえば、
水晶に多く含まれている成分です。
水晶はケイ素と酸素が化合してできています。
次に、「PC」というのは一体どんなものなんでしょうか?
これについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
関連記事:「PCハイドロゲル」って一体どんな素材?
簡単に言うと、
PCというのはホスホリルコリン(Phosphatidyl Choline)という言葉の略になります。
「ホスホリルコリン!?そんな言葉聞いたことないよ!」
という人がほとんどなのではないでしょうか?
ホスホリルコリンというのは、
簡単に言うと、レシチンの一種で、
卵の黄身に多く含まれている成分です。
水晶の主成分であるケイ素が成分のシリコーンに比べて、
PCの場合は、かなり有機的というか、生体的に感じませんか?
「水晶」と「卵の黄身」の違いにちょっと似ている!?
そんなわけで、シリコーンハイドロゲルとPCハイドロゲルは、
極端に言うと「水晶」と「卵の黄身」の違いに
ちょっと似ているのではないかなと思います。
水晶というのはケイ素と酸素が化合したものと
さきほど言いましたが、
ケイ素というのは実は酸素を溶かしやすい性質をもっています。
溶解係数が大きいと言うみたいですね。
だからこそ、地球上にはこんなにもたくさんの水晶があるんですね。
そんなケイ素を含んだ成分であるシリコーンも
当然のことながら酸素を溶かしやすい性質をもっています。
だからこそ、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは
酸素を通しやすい性質をもっているんですね。
それに対して、卵の黄身は空気中に放置しても、
なかなか乾燥しにくそうなイメージがありませんか?
そんな特徴をもっているのがPCハイドロゲル素材です。
目の健康には「シリコーン」、ドライアイには「PC」がいいかも。
というわけで、
シリコーンハイドロゲルとPCハイドロゲルの
違いについてでした。
個人的には、シリコーンハイドロゲルの酸素の通しやすさと、
PCハイドロゲルの保水性を合わせ持った素材が
あるといいなと思うのですが、
今のところはそういう素材はまだ誕生していないようです。
ちなみに、PCハイドロゲルは保水性は高いのですが、
酸素の通しやすさは普通のハイドロゲル素材とそう変わりません。
というわけで、
シリコーンハイドロゲル素材とPCハイドロゲル素材の
コンタクトレンズを使い分けるのであれば、
目の健康を重視するのであれば、
シリコーンハイドロゲル。
目が乾燥するのでドライアイ対策重視なのであれば
PCハイドロゲル。
という感じに使い分けるのがいいのではないかなと思います。
参考サイト:シリコーンハイドロゲル素材のコンタクト一覧|使い捨てコンタクトレンズ通販ガイド