ちまたでちょっと話題になっている
「バイオニックレンズ」。
眼内にレンズを挿入することで、
視力が3.0になるというのが売りのようなのですが、
ツッコミどころが一杯です。
バイオニックレンズというのは一体
どんな仕組みになっているのでしょうか?
目次
フェイキックIOLと一体なにが違うのか?
まず、第1の疑問。
バイオニックレンズというのは
フェイキックIOLと
一体なにが違うのかという疑問です。
フェイキックIOLというのは、
日本語にすると
有水晶体眼内レンズと呼ばれています。
眼の中に人工的なレンズをいれる手術って、
本来は白内障によって、
水晶体を取り除いてしまった人に対してしか
行われてきませんでした。
でも、視力回復を目的に、
白内障で水晶体を取り除いてしまったわけでもないのに、
眼内に人工的なレンズを入れる手術がおこなわれはじめました。
それを、
フェイキックIOL(有水晶体眼内レンズ)といいます。
バイオニックレンズって
眼内に人工的なレンズをいれることで、
視力を3.0とかに回復する方法らしいのですが、
フェイキックIOLの場合でも、
レンズの度数を上げることで
それは可能になるのではないかと思うのです。
視力3.0になると、老眼になったときに大変なのでは?
つぎに、視力3.0になるのが
バイオニックレンズの売りのようなのですが、
視力って高ければ高いほどいいというわけでもありません。
若いうちは、
眼の水晶体も柔軟で、
遠くから近くまできれいにピントを合わせることが
できるかもしれませんが、
歳をとって、
水晶体の柔軟性が失われてくると、
なかなか、ピントをあわせることが難しくなってきます。
そんな状態のときに、
バイオニックレンズによって
視力3.0になっていたらどうなるでしょうか?
ものすごく遠くのものはハッキリと見えるのに、
近くのものは視界がぼやけてしまって
よく見えないということになってしまいかねません。
ましては、視力3.0の場合は、
近くのものはおろか、
中くらいの距離のものも
見えにくくなってしまうかもしれません。
だって、この問題は、
視力3.0にするバイオニックレンズはおろか、
視力1.5前後を目指す
フェイキックIOLやレーシックでも起こる問題だからです。
眼内に挿入したレンズはどうやって固定するのか?
そして、最大の不明点。
それは、眼内に挿入したレンズはどの位置に、
どうやって固定するのかという点です。
フェイキックIOLだって、
虹彩の位置を基準として、
その前にレンズを固定するのか、
その後ろに固定するのかによって種類が違います。
前房型フェイキックIOLとか
後房型フェイキックIOL(ICL)とかいいます。
前房型の場合は、
虹彩にクリップするようにして固定します。
そして後房型の場合は、
虹彩と毛様体の間にある溝にはめ込むようにして固定します。
でもバイオニックレンズの場合、
眼内に注射器のようなもので
挿入するとしか説明がないようです。
前房型なのか後房型なのかの説明もないし、
どうやって固定するのかも不明なんですね。
実用化されるかどうかもちょっと怪しいのではないかと思います。
ちなみに、バイオニックレンズは、
Ocumetics Technology社という
カナダに拠点がある会社が開発しているようです。
「Ocumetics Technology」で検索すると
公式サイトも確認することができます。
が、
この公式サイトもちょっと怪しい感じなのです。
バイオニックレンズがどういう仕組で機能するのかの
説明はほとんどないのですが、
価格帯はすでに決まっているようで、
3200ドル前後になる予定との記載があります。
カナダドルの場合、
日本円にすると約30万というところでしょうか。
フェイキックIOLもそれぐらいの値段だと考えると
妥当なところかもしれませんが、
価格だけがすでに決まっていて、
あとの情報はあまり公開していないとうのはどうなんでしょうか?
そうとう特殊な特許技術を狙っている可能性もありますが、
実用化されるかどうかも怪しいような気がしてしまいます。
関連記事:フェイキックIOLには「前房型」と「後房型」の2種類がある?