「RK」って一体どんな視力矯正手術なんでしょうか?

視力矯正手術の元祖として

「RK(アールケー)」というものがあります。

 

Radial Keratotomyの略です。

 

日本語では「放射状角膜切開手術」と呼ばれたりします。

一体どんな視力矯正手術なんでしょうか?

 

角膜に、直接メスで放射状に切れ目を入れて視力矯正する方法です。

最近の視力矯正手術というと、

レーシックなどのレーザーを使ったものが主流ですが、

RKはレーザーを使いません。

 

まだ、レーザーで角膜を削るということが

実用化に至っていない時代の手術方法だからです。

 

RKではレーザーではなく、メスを使います。

 

角膜の瞳孔の上の部分はそのままに

(視界に入る部分にはメスをいれないということですね)、

中心から外側に放射状に12本〜18本ほどの切れ目を入れます。

 

そうすると、切れ目を入れた部分の角膜の強度が下がります。

 

そうすると、角膜のカタチもすこし変化しますよね。

 

キレイなお椀型をしている角膜のカタチが、

すこし平坦になります。

 

そうすると、角膜の屈折率も変化し、

近視が矯正されるという仕組みです。

 

RKは日本生まれのロシア育ちの手術方法です。

ちなみに、RKは実は日本でその発想が生まれました。

 

順天堂大学の佐藤勉教授が、

角膜に直接メスを入れて近視を矯正する手術方法を

世界で最初に開始しました。

 

ただし、その手術方法は今のRKとはちょっと違います。

 

今のRKは角膜の表面だけ、

角膜上皮とボーマン層、角膜実質だけを切開するのですが、

佐藤勉教授の手術では角膜内皮細胞まで切開するものでした。

 

今では角膜内皮細胞の重要性というものが良く知られるようになっていますが、

当時は角膜内皮細胞の重要性が知られていなかったんですね。

 

そういうわけで、

術後に角膜が白く濁ってしまう症状が多発したようです。

 

水疱性角膜症になってしまう人が多かったんですね。

 

角膜内皮細胞を切開してしまうのですから

今から考えれば当然といえます。

 

そういうこともあり、

日本では角膜に直接メスをいれて近視を矯正する手術方法はストップしました。

 

それを今のRKとして開発、発展させたのは、

ロシアのフィヨドロフ博士という人です。

 

ある日、事故で目にガラス片が刺さってしまった少年が

患者としてやってきたようなのです。

 

なんとかキレイにガラス片を取り除いて、

ことなきを得ました。

 

その後、驚くべき言葉が少年から発せられました。

 

「目が良くみえるようになってる」

 

そうなんです。

 

その少年は事故前は近視だったそうなのです。

それが、事故によって角膜の表面がガラスによって削られたんですね。

 

その結果、偶然にも近視が矯正されてしまったんです。

 

その出来事から、

フィヨドロフ博士の頭の中に、

日本の佐藤勉教授の手術方法が浮かんだそうです。

 

そして、角膜の表面だけ切開するならば大丈夫なのではないかということで

研究が進み、今のRKが開発されたんですね。

 

軽度の近視の人のためのミニRKというものもあります。

RKというと一般的には12本以上の放射状の切れ目を入れるのが一般的なのですが、

軽度の近視の人にはミニRKというものが行われることも多いようです。

 

ミニRKというのは、

切れ目の数を少なく、

切れ目の長さも短くしたものです。

 

切れ目は4本とか8本になるようですね。

 

軽度の近視の人であれば、

それぐらいの切れ目でも十分に視力が矯正されるようです。

 

目の角膜に直接メスを入れるのですから、

極力そのダメージは少なくしたいですからね。

 

人の手で手術するので、手術者の技術に大きく左右されるというデメリットが。

そんな、元祖、視力矯正手術であるRKなのですが、

今ではほとんどと言ってもいいほど行われていないと思います。

 

参考記事:今でもRK手術を行っている眼科やクリニックはあるのでしょうか?

 

というのも、RKには術後の仕上がりが、

手術者の技術に大きく左右されるというデメリットがあるからです。

 

人の手でメスを使って直接角膜に切れ目を入れます。

 

角膜という組織は厚みが約0.5mmほどのとても薄い組織です。

ちょっとでも強くチカラが加われば

角膜内皮細胞にまでメスが達してしまいかねません。

 

切れ目を入れるときも、

上手くやらなければ切れ目が歪む可能性もあります。

 

そうなると、乱視が引き起こされてしまいかねません。

 

参考記事:レーシックを受けると乱視は治る?それとも乱視になってしまう?

 

手術を受ける側としては、

そうとう信頼のおける実績のある先生でなければ受けたいとは思いませんよね。

 

今では、メスではなくレーザーを使った手術「PRK」として進化しています。

そんなRKですが、

今ではメスを使った手術ではなく、

レーザーを使った手術として進化しています。

 

その名も「PRK」です。

 

PRKというとRKにPが付いたものなので、

RKになにか形容詞がついたものと思うかもしれませんが、

実は全然違います。

 

PRKはPhoto Refractive keratectomyの略です。

 

Photoというと写真をイメージしますが、

光などの意味もあります。

 

ここではレーザー光という意味ですね。

 

視力の矯正の仕方も、

角膜に切れ目を入れて矯正するものではなく、

レーザーによって角膜の表面を直接削るという方法に変化しています。

 



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