バイオレットライト(紫光)という言葉。
聞いたことありますか?
テレビやニュースでも取り上げられているので
聞いたことがあるという人も増えているかもしれません。
バイオレットライトというのは一体どんなものなんでしょうか?
目次
視力の低下を抑えてくれるかもしれない光のこと。
簡単に言うと、
バイオレットライトは、
近視の進行を抑制してくれるかもしれない光のことです。
私自身も近視ですが、
日本人って近視の人がとても多いですよね。
最近では子どもの近視もかなり問題になってきているみたいですね。
ちなみに2013年のデータでは、
高校生のうちで視力1.0以下の生徒の割合は約65%だそうです。
大人になるともっと多くなると思います。
感覚的にどうでしょうか?
身の回りの人でも裸眼の人のほうが珍しいですよね。
ちなみに、これは日本だけではなくて、
台湾、香港、シンガポール、韓国でも軒並み近視率が上昇しているようです。
そんな状況の中、研究が進められて発見されたのが、
バイオレットライトなんですね。
なぜ、視力の低下を抑えられるのか?
なぜ、バイオレットライトが視力の低下を抑えられるんでしょうか?
その前に、バイオレットライトというのは
具体的にどんな光なのかを説明します。
バイオレットライトというのはその名の通り、
紫色の光のことです。
光ときて紫とくれば、
思いつくのは「紫外線」なのではないでしょうか?
紫の外の光という意味ですね。
バイオレットライトというのは紫の外の光ではなくて、
紫の光そのもののことです。
つまりは紫外線と隣合わせの光のことで、
ギリギリ目で見える光(可視光線)ということですね。
光には波長があって、波長が短い長いで色が変わってきます。
紫色の光は可視光線の中ではもっとも波長が短いものです。
具体的には波長が「380nm」のものをバイオレットライトと言います。
ブルーライトという言葉がちょっと前に話題になりましたよね。
スマホやTVやパソコンの画面から放出されている光のことです。
このブルーライトの波長は約「450nm」です。
バイオレットライトはブルーライトよりもさらに波長が短いんですね。
そんなバイオレットライト、
なぜ、視力の低下を抑えることができるんでしょうか?
「EGR1」という遺伝子が眼軸長の伸びを抑えてくれる?
詳しいことはまだまだ研究段階のようですが、
どうやらバイオレットライトが目にあたると、
「EGR1(Early growth response 1)」という遺伝子が活性化して、
眼軸長が伸びるのを抑制してくれる働きをするようです。
ちなみに、視力が悪くなる原因には2パターンあります。
視界って、目の中に入ってきた光が、
網膜の1点にピントが合うことでキレイに得られます。
網膜の1点にちゃんとピントが合うことが大事なんですね。
そのピント合わせの機能を担っているのが「水晶体」です。
この水晶体はレンズみたいな形状をしていて、
レンズを薄くしたり厚くしたりして、ピントを調節しています。
この、水晶体の厚みを調節する機能が衰えることが
視力が悪くなる原因の1つです。
でも、もうひとつあります。
それが、眼軸長が伸びてしまうということです。
視界をキレイに得るには、
目の中に入ってきた光を網膜の1点に集中させなければいけません。
眼軸長が伸びると、
その網膜の位置が水晶体から遠くなってしまうんですね。
そうなると、水晶体のピント調節力以上に、
網膜の位置が水晶体から遠くなってしまうことがあります。
そうすると、網膜にうまくピントを合わせられなくなり、
視力が悪くなってしまうんですね。
バイオレットライトは、
その眼軸長が伸びるのを抑制する効果があるということで
注目されているんですね。
ちなみに、水晶体の調節機能が衰えているだけのことを「仮性近視」、
眼軸長が伸びてしまった近視のことを「真性近視」と言ったりもします。
関連記事:うちの子供は、仮性近視なんでしょうか?真性近視なんでしょうか?
近視を予防する確かな方法は「外で遊ぶ」こと。
ちなみに、
近視を予防する効果があるとして、
確実に認められていることがあります。
なんだと思いますか?
それは、「外で遊ぶ」ということです。
ええ〜!?って思うかもしれませんが、
ちゃんとした研究データもあるようです。
というよりも、外で遊ぶということ以外には、
確実に近視を予防できると言える方法がないようなんですね。
近視予防には目の筋肉を動かしたりするトレーニングとかありますが、
そういうトレーニングでは確実に近視を予防するというデータが
とれないようなんですね。
ちなみに、バイオレットライトは自然光の中に含まれています。
つまり、「外」です。
今までは、なんで外で遊ぶということが
近視の予防にいいのかは正確には分かってきませんでした。
でも、バイオレットライトがそれに関わっている可能性が高いようです。
バイオレットライトを使えば室内でも近視を予防できる?
ちなみに、バイオレットライト。
今の世の中の状況だと、
日中外に出る以外には浴びる方法がありません。
室内ではほとんどと言っていいほど
バイオレットライトを浴びることができないようです。
というのも、「UV400」という言葉を聞いたことありませんか?
これは400nm以下の波長の光、
つまりは紫外線をカットする機能がありますという、
サングラスやメガネの性能を表す言葉です。
このUV400。
家の窓とかにも使われていたりします。
つまり、家の中に入ってくる自然光は、
紫外線をカットされた状態で入ってくるんですね。
ちなみに、バイオレットライトの波長は380nmです。
UV400だとバイオレットライトまでカットされてしまうんですね。
ここ最近の、世界的な近視人口の増加は、
行き過ぎたUV400の影響だとも言われていたりします。
そんな中、室内でもバイオレットライトを目に浴びることができるように、
バイオレットライトを発光するLEDライト
(現状のLEDライトにはバイオレットライトは含まれていない)や、
バイオレットライトは通すUVカットメガネとかが開発されているようです。
関連記事:バイオレットライトの照明やスタンドはすでに発売されている?
今後の研究に期待大です。
というわけで、
バイオレットライトとは一体どんな光なのかということについてでした。
ちなみに、バイオレットライトは、
慶應義塾大学の教授である坪田一男氏率いる研究チームによって発見されました。
慶應義塾大学でもプレスリリースを発行しています。
【プレスリリースのPDF】
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2016/12/26/161226_2.pdf
坪田氏というと、
眼科業界では有名人で「ドライアイ」という言葉を作った人でもあります。
本も色々と出版されていて、
バイオレットライトについても
「あなたのこども、そのままだと近視になります。」
というタイトルで出版されています。
この記事でも大いに参考にさせていただきました。
ともあれ、今後のバイオレットライトの研究に期待大ですね!
個人的にはバイオレットライトが眼軸長の伸びを抑制するだけでなく、
眼軸長を短くする効果もあるかどうかが気になるところです。
参考図書:「あなたのこども、そのままだと近視になります。」坪田一男著
参考図書:「眼科ケア」2017年5月号